【転職コラム】「失敗、のち、成功」の転職体験記
「こんなはずじゃなかった…」
入社後わずか2週間で後悔の念が込み上げてきた。マスコミに憧れて編集プロダクションに転職。取材に飛び回り、徹夜で原稿書きに追われる――そんな理想はもろくも崩れ去った。
私が転職した会社は、業界誌など専門的な内容の仕事が多く、実際の仕事はとっても地味。仕事の大半は資料整理や情報収集。やっと原稿を書かせてもらえたと思ったら、今度はこれがまったく書けない。ほんの数行の囲み記事でさえ、原稿は赤字で真っ赤に。時には全とっかえだってある。「私のやりたい仕事は、私の能力はこんなはずじゃなかった…」
そもそも初めての就職も失敗だった。「かっこよさそう」となぜか法律事務所に就職。就職氷河期真っ只中で、「やりたい仕事」よりも「入れそうな会社」を選んだ、というのも大きい。当然働き始めれば違和感を覚える。どうにも仕事に興味が持てない。結果、仕事ができない。上司や同僚に迷惑をかけながら、それでも3年働いて「やりたいことをやります!」と大見得を切って転職に踏み切った。が、顛末は先の通り。
「いったい私の何がいけなかったの!?」
かくして仕事内容においても、自分の実力においても、イメージと現実のギャップに苦しむこととなった私。敗因は、転職活動中にその『ギャップを埋める作業』をしなかったこと。言い換えれば、『「自己分析」→「確認」→「修正」の作業』ともいえる。
まずは心の声に耳を澄ます。「私が本当にやりたい仕事はなんだろう?」その上で「今の自分ができること/できないこと」「将来的に達成したいこと」を明確にする。
次に仕事や会社について調べて「確認」、運よく面接までこぎつけたなら会社の求める人物像と自分とを比較して「確認」。特に面接では色よいことばかりを言いたくなるが、ここであえて「自分にはできないこと」「不安に思っていること」などをはっきり伝えたほうが、後々ギャップに苦しまずに済むし、逆に面接官からの信頼感が高まる可能性もある。会社に選ばれるのではなく、自分が会社を選ぶという主体性も忘れたくない。
「確認」をすれば、当然そこに何らかのギャップが生まれる。それを認めて、正しい仕事観、会社像、自分像に「修正」していく。転職活動とは、ひたすらこの作業を根気強く繰り返すことなのだなぁ、と今の私ならわかる。
「私が本当にやりたい仕事って…?」
なかなか仕事が決まらないと焦り、目の前の内定に飛びつきたくもなる。でもその度に「自分が本当にやりたい仕事は何か?」という原点に戻りたい。ここのギャップが一番つらいから。
それでもあの頃の私に「本当にやりたい仕事はなに?」といくら聞いても、答えられなかったかもしれない。この問いに即答できる人って、実はそう多くないと思う。それならどうすればいいか――少しでも興味のあることを大切にする、諦めずに問い続ける、目の前の仕事に没頭する――これしかない。私の場合、確信が持てずギャップに苦しみながらも、目の前の仕事に没頭した。どんなに地味で煩雑な仕事も、編集とは直接関係のない図書営業や広告営業も、とにかく一生懸命取り組んだ。
「こんな私がヘッドハンティング!?」
3年が過ぎた頃のある日、一本の電話が入った。「某大手企業が、貴方を採用したいと言っています」(もしやヘッドハンティング!?)実際にスカウトマンと会って話を聞いてみると、広告営業をしたときのクライアントが、私を採用したいと言っているという。嬉しかった。迷いながらもやり続けてきたことが間違いではなかったと。その頃には編集の仕事が大好きで、転職なんて考えていなかったけれど、編集+αの仕事内容、大幅にアップする年収などから転職を決めた。私は「やり続ける」ことでギャップを解消し、失敗を成功に変える事ができた。今では編集の仕事が、私の一生をかけられる仕事だと思っている。
ライター:加藤 恵美(かとう・えみ)
■1972年長野県生まれ。明治学院大学卒業後、法律事務所に就職。以降2度の転職を重ねる。座右の銘は「起きていることはすべて正しい」